円安が進行する中、資産形成の選択肢としてドル建て保険への関心が高まっています。しかし、為替レートは常に変動するため、メリットだけでなく、特有のリスクや注意点を正しく理解することが不可欠です。
この記事では、円安の今、ドル建て保険を検討する上でのメリットと、必ず知っておくべきリスク・デメリットを解説します。
円安時にドル建て保険を検討するメリット
将来、円安がさらに進んだ場合の受取額
将来、保険金や満期金をドルで受け取り、その時点の為替レートが契約時よりも円安になっていれば、円に換算した際の受取額は大きくなります。
例えば、1ドル110円の時に契約し、1ドル150円の円安時に受け取れば、為替差益が上乗せされる形になります。
資産を円とドルに分散できる
ご自身の資産のほとんどが日本円である場合、資産の一部をドル建てにすることで、通貨を分散させる効果が期待できます。将来、円の価値が下落(円安)した際に、ドル建て資産を持っていることがリスクヘッジにつながる可能性があります。
相対的に高い利率での運用が期待できる
一般的に、米ドルは日本円よりも政策金利が高いため、ドル建て保険は円建ての保険に比べて予定利率が高めに設定されている傾向があります。これにより、より効率的な資産形成が期待できる場合があります。
ドル建て保険の主なリスクと注意点
外貨建て保険には、円建ての保険にはない特有のリスクがあります。加入を検討する際は、メリット以上に以下の点を慎重に確認する必要があります。
為替変動リスク(円高になると元本割れの可能性)
ドル建て保険の最大のリスクです。保険金や満期金を受け取る際に、契約時よりも円高になっていると、円換算での受取額が目減りします。
場合によっては、円換算での受取額が、払い込んだ保険料の総額を下回る「元本割れ」となる可能性があります。
シミュレーションについて:
パンフレットなどに記載されている円安・円高時の受取額シミュレーションは、あくまで特定のレートを仮定したものです。将来の為替レートを保証するものではないことを十分に理解する必要があります。
為替手数料がかかる
保険料を円で支払う時(円→ドル)や、保険金を円で受け取る時(ドル→円)には、為替手数料がかかります。この手数料は金融機関によって異なり、コストとして差し引かれるため、運用成果に影響を与えます。
保険料の円換算額が変動するリスク
月々の保険料を円で支払う場合、保険料はドル建てで一定でも、為替レートの変動によって円での支払額が毎月変動します。円安が進むと、月々の保険料負担が重くなる可能性があります。
契約時・解約時にかかる費用がある
為替手数料とは別に、契約時には「契約初期費用」が、また、早期に解約した場合には「解約控除」として、積立金から一定の費用が差し引かれるのが一般的です。これにより、解約返戻金が大幅に減少する、あるいはまったくない場合もあります。
まとめ
円安時にドル建て保険を検討することは、将来のさらなる円安に備える資産分散の観点からメリットが期待できる一方、為替レートが円高に振れた場合の「元本割れ」という重大なリスクを伴います。
また、為替手数料や契約・解約にかかる費用など、円建ての保険にはないコストも存在します。
加入を検討する際には、これらのメリットとリスクを十分に理解し、ご自身の経済状況やリスク許動度を慎重に考慮することが不可欠です。
もし不明な点があれば、専門家に相談して内容をよく確認することも選択肢の一つです。